薄紅色の道を往く
◇◇悲しい系です。苦手な方はご注意◇◇
薄紅色の花のかけらが
舞い散る道
光あふれる
静かな午後
散る時を
知っていたのか知らずにいたのか
花は その咲き誇る大樹から
はらはらと その身を散らす
遠くまで
どこまでも
遠くまで伸びている
敷き詰められた薄紅色の花の道
その累々と積み重なる花のかけらは
潔く そして儚く散った
忍たちの命にも似て
彼らが流した血の色にも似て
花のかけらは今も
絶えず はらはらと舞い落ちて
先に散った仲間たちの上に横たわり
そうして静かに時を過ごす
ただ静かにそこに在る
花のかけら
生きたあかしを
語るすべもないままに
遠くまで
どこまでも遠くまで
伸びている
敷き詰められた薄紅色の花の道
ガイは
見つめていた
その道を往く
カカシの背中を
ひとりきりで
何も語らず
振り返る事もせずに
まっすぐに歩む
その道はどこへ続いているのか
カカシは知っているのだろうか
それとも知らないままで
何かに導かれるように足が命じるままに歩いて往くのか
カカシの往く道は
ガイもまた往く道なのだろう
それだけをガイは
知っていた
薄紅色が光を反射し
優しい色に塗られている道は
今は
その真ん中を往くカカシの背中をも薄紅色に照らしていた
ガイは
声をかける訳でもなく
行き先を尋ねる訳でもなく
ただ黙ってカカシの背中を見つめていた
ひとりきりで
何も語らず
振り返る事もせずに
まっすぐに歩む その背中を
薄紅色の花のかけらが
舞い散る道
光あふれる
静かな午後
そこに累々と積み重なる
花のかけらは
潔く そして儚く散った
忍たちの命にも似て
(終)
2009.1.20 |